9月13日は、日本の歌謡シーンにおいて数々のヒット曲を生み出したヒットメイカー、
井上大輔の誕生日。そこで、井上が手掛けた代表作をいくつか紹介していきましょう。
井上は、1941年9月13日に東京都で生まれました。スカウトで
ジャッキー吉川とブルー・コメッツに参加し、リードヴォーカル、フルート、サックスを担当。「青い瞳」やグループの代表曲で日本レコード大賞を受賞した「ブルー・シャトウ」などを作曲。当時は本名の
井上忠夫を名乗っていました(1981年に井上大輔に改名)。
井上忠夫としては、のちに
倍賞千恵子や
チェリッシュがカヴァーした「水中花」などを発表。井上忠夫と5110・BAND名義を経て、井上大輔となってからは、劇場版『機動戦士ガンダム』シリーズの主題歌「哀・戦士」や「めぐりあい」なども歌唱しています。1999年にリリースされた『機動戦士ガンダム』20周年企画アルバム『
Reverberation in GUNDAM』には、井上と日本大学芸術学部の同級生で『機動戦士ガンダム』の監督・富野喜幸(現・
富野由悠季)が井荻麟の名で作詞した楽曲も収められています。
CMソングをはじめとするタイアップ曲も多く、特に「コカ・コーラ」のTV-CMソングとなった「I FEEL COKE」は、“さわやかテイスティ”のフレーズとともに親しまれています。同曲は、2023年に
綾瀬はるかが出演したCMにて、
水曜日のカンパネラの詩羽がカヴァー歌唱して話題を集めました。
また、作・編曲家として世に送り出したヒット曲は、
フィンガー5の1973年の代表曲「恋のダイヤル6700」やのちに
小泉今日子のカヴァーもヒットした翌74年の「学園天国」をはじめ、枚挙にいとまがないほど。80年代に入ると、
シャネルズへ提供した楽曲が次々とヒット。デビュー・シングル「ランナウェイ」を皮切りに「トゥナイト」「街角トワイライト」「ハリケーン」「涙のスウィート・チェリー」を経て、シャネルズが
ラッツ&スターに改名後初のシングルとなった83年の「め組のひと」などを手掛けました。「め組のひと」は2010年に倖田來未がカヴァーしたヴァージョンが、2018年にTikTokで“バズ”り、リヴァイヴァル・ヒットしたのも記憶に新しいところです。
ラッツ&スター同様に井上が多くのシングル・ヒットを提供したのが、
シブがき隊。1982年のデビュー・シングル「NAI・NAI 16」をはじめ、「100%…SOかもね!」「ZIG ZAG セブンティーン」「処女的衝撃!」「挑発∞」「アッパレ! フジヤマ」など、シブがき隊のトップアイドル・ストーリーを大きく支えてきました。
大友裕子がリリースした「ボヘミアン」は、翌1983年に
葛城ユキがカヴァーしてヒットし、葛城の代表曲に。同曲は
飛鳥涼(現・
ASKA)が作詞を手掛けました。同年には
沢田研二に「きめてやる今夜」、現在は政治家として活躍する
三原じゅん子(当時は三原順子)に「悲・GEORGE」を提供。奇しくも井上と同じ9月13日が誕生日の三原は、
武田鉄矢主演の国民的人気ドラマ『3年B組金八先生』に出演した際の役名、山田麗子名義で作詞をしています。
1984年には、
郷ひろみ「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」、小泉今日子があんみつ姫名義で発表した「クライマックス御一緒に」、バラエティ番組『欽ちゃんのどこまでやるの!』から誕生したユニット“
わらべ”のかなえ役として人気を博した
倉沢淳美のデビュー・シングル「プロフィール」、「日清焼そばU.F.O.」CMソングに起用された
杏里「気ままにREFLECTION」などのヒットを生みました。
以降も
南野陽子主演のドラマ『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』の主題歌となった南野の4枚目のシングル「風のマドリガル」や、リゾートでプロゴルファーの
青木功と
尾崎将司がビールを酌みかわすシーンも話題となった「アサヒ生ビール」CMソングに起用された
尾崎紀世彦「サマー・ラブ」、カラオケの定番曲として根強い人気を持つ
鈴木聖美 with Rats&Star「TAXI」、まだビッグセールスを放つ前の
福山雅治の90年発表の2枚目のシングル「アクセス」、さらには、水玉模様のファッションで注目を浴び、「ふたりのイエスタデイ」のヒットで知られるスコットランド・グラスゴー出身のポップ・デュオ、
ストロベリー・スウィッチブレイドの日本独自制作楽曲「エクスタシー」の作曲も担当。「エクスタシー」は「スバル・レックス」CMソングに起用され、1985年に日本限定アルバム『ジョリーン 12インチ・アルバム』に収録されました。
井上は2000年に不慮の死を迎えましたが、未発表曲に
松本隆が詞を付けた楽曲を、
ゴスペラーズが32枚目のシングル「ローレライ」として2008年に発表。カップリングには
スキマスイッチの
常田真太郎が作詞・編曲を手掛けた「バードメン」が収められています。
幅広いジャンルの楽曲を手掛け、番組主題歌やCMソングを含め、数多くのヒット曲を生み出してきた井上。その一端は、2016年リリースの『
主題歌&CMワークス』(写真)や、『
井上大輔21メモリアルヒッツ〜エヴァーリゾート〜』といった作品でも振り返ることができます。井上生誕の日に、日本の歌謡シーンに輝かしい功績を遺した井上サウンドに触れてみてはいかがでしょうか。
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