日本の歌謡シーンに数々の名曲を送り込み、日本音楽著作権協会(JASRAC)会長や日本作曲家協会会長といった要職も歴任している作曲家の
弦哲也は、9月25日が誕生日。その生誕を祝して、弦が手掛けた人気曲をいくつか紹介したいと思います。
1947年に千葉県銚子市で生を受けた弦(本名は田村正稔)は、1965年に
田村進二の名前で歌手デビュー。1968年に弦哲也と改名し、1970年より北島三郎のコンサートに帯同した際に作曲活動を勧められ、1976年に将棋棋士の内藤國雄へ提供した「おゆき」で作曲家デビューを果たしました。
1978年にNHKのコンテスト形式の視聴者参加番組『あなたのメロディー』の年間コンテストにてグランプリを獲得した「
与作」を発表。当初は同番組にて弦自身が歌唱していましたが、北島や千昌夫らが同曲をカヴァーし、シングルとして発表。北島による
カヴァー・シングルがヒットして、北島の人気再燃に大きく貢献しました。
歌手としては“弦てつや”、作曲家としては“弦哲也”として活動し、1980年に
川中美幸「ふたり酒」などがヒットしましたが、1986年より作曲活動に専念。同年に
石川さゆりへ提供した「天城越え」が日本レコード大賞金賞を受賞すると、1999年には日本レコード大賞吉田正賞を受賞。以降も総作曲数2500曲を超える作品を手掛け、数多くのヒット曲を生み出しました。
代表曲は、前述の川中美幸「
ふたり酒」、
石川さゆり「
天城越え」のほか、
石原裕次郎「
北の旅人」や
五木ひろし「
人生かくれんぼ」、弦とのデュエット版も発売された川中美幸「
二輪草」、日本レコード大賞歌謡曲・演歌部門の最優秀新人賞を受賞した
永井みゆきのデビュー・シングル「
大阪すずめ」、NHK『みんなのうた』放送後に注目されてヒットした
晴山さおりのデビュー・シングル「
一円玉の旅がらす」、
水森かおりの「
鳥取砂丘」のロングランヒットから続く、「
釧路湿原」「
五能線」「
熊野古道」「
松島紀行」などの“ご当地ソング”シリーズと、演歌・歌謡曲を中心に、カラオケなどでも広く親しまれている楽曲が並びます。
NHK連続テレビ小説『
ふたりっ子』にてオーロラ輝子役で出演した女優の
河合美智子がドラマ内で歌唱し、役名のオーロラ輝子名義で発表した「夫婦みち」や、
モーニング娘。の57枚目のシングルで、モーニング娘。'14としてリリースした「
TIKI BUN / シャバダバ ドゥ〜 / 見返り美人」のなかの「見返り美人」なども弦が作曲を手掛けています。
音楽生活40周年を迎えた2005年には記念アルバム『
弦点回帰 〜弦哲也自作自演集〜』を、45周年となった2010年には自身25年ぶりのシングル「
帰り花」とアルバム『
弦哲也 〜弾き語りの世界〜』を、50周年の2015年には自身が作詞、五木ひろしが作曲を手掛けたシングル「
犬吠埼〜おれの故郷〜」とアルバム『
作曲家 弦哲也の世界』(写真)を、周年の節目ごとに発表しています。
弦の誕生日を機にいま一度、日本歌謡史に刻まれた珠玉の名曲の数々を遺してきたヒットメイカー、弦哲也の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
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