1月10日は、福岡にある食品会社「ふくや」が1949年に日本で初めて「明太子」を販売したことから、「明太子の日」に制定されています。当時の日本人はそれほど辛いものを食べる習慣がなかったこともあり、当初は「辛すぎる」と不満やクレームがあったそうですが、改良を重ね、次第に行列になるほどの人気を獲得。1957年に「味の明太子」と命名し、以来、日常的に愛されるものとなりました。
福岡は、貿易港がある日本のアジアの玄関口となる国際都市で、多くの歌手を輩出した音楽の街ということから、イギリスのガーディアン紙などに“日本のリヴァプール”と称されましたが、その代表的ともいえるもののひとつが、福岡が生んだ名産になぞらえた“めんたいロック”でしょう。
60〜70年代に盛況となったフォーク・ブームのなかで、70年に
鮎川誠、
柴山俊之を中心とするバンド、サンハウスが結成されました。フォーク最盛期ともいわれる時代にブルースロックを鳴らし、福岡の音楽シーンにカルト的な熱狂を生み出すと、それに影響されて次々と福岡を拠点とするバンドが誕生。のちに“めんたいロック”といわれるムーヴメントの先駆けとなりました。1975年に1stアルバム『有頂天』でメジャー・デビューを果たしたサンハウスですが、1978年の3rdアルバム『ドライヴ・サンハウス』をもって解散。その後、鮎川は
シーナ&ザ・ロケッツを結成し、柴山は福岡や九州のバンドに歌詞を提供していきます。
そのサンハウスの影響を受け、連日ライヴハウスで熱狂的なステージを繰り広げていたバンドが、若者たちを大いに刺激。シーナ&ザ・ロケッツをはじめ、
大江慎也や
花田裕之を軸とした
THE ROOSTERS、
陣内孝則擁する
ロッカーズ、
森山達也を中心とし、80年代のパンクロック・シーンを牽引した
THE MODS、ドラマーの
KEITH(キース戸部)を中心に結成し、俳優として活躍している
石橋凌がヴォーカルを務めていたことでも知られる
ARBなどがメジャー・デビューを果たすなど、音楽の街にふさわしい、反骨心にあふれた強烈なサウンドで日本の音楽シーンを駆け抜けていきました。
THE ROOSTERSに影響を受けた
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、現在も精力的にライヴを行なっているTHE MODSなど、ロックキッズやフリークたちに刺激と憧憬をもたらす“めんたいロック”。「明太子の日」に明太子を肴に体感してみてはいかがでしょうか。
(写真は、2018年リリースのシーナ&ロケッツのベスト・アルバム『
ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1』)
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