この映像を彩る楽曲は、英国のロック・バンド、ムーディー・ブルースの「サテンの夜」(Nights in White Satin)です。2018年にロックの殿堂入りを果たしたムーディー・ブルースは1964年にデビュー。初期は王道のR&Bバンドでしたが、のちにメロトロンやシンセサイザーを取り入れたサウンド、幻想文学に傾倒した詞世界、コンセプチュアルなアルバム作りへとシフトし、プログレッシヴ・ロックの代表格に。「サテンの夜」は、そんな彼らの作風の転換期となった1967年のアルバム『デイズ・オブ・フューチャー・パスト』からのシングルとして同年に発表。オーケストラとロックとの融合を試み、「1日」を音楽で表現した一大コンセプト・アルバムのラストを飾る名曲として、人気を博しました。ドラマティックなストリングス・アレンジがアコースティック・ロックを包み込む神秘的なスロー・ナンバーで、ジョルジオ・モロダーのディスコ・ヴァージョンほか、数々のアーティストがカヴァーするバンド屈指の名曲。愛する人への思いに焦がれる夜を幻想的に描き切ったサウンドは、ティモシー・シャラメの色気が香りたつ映像美にも非常にマッチしています。