こちらハイレゾ商會
第13回 お好みの“ハイレゾ選集”を作ろう
e-onkyoのハイレゾ配信には、アルバムでの購入のほかに、曲単位の購入が用意されているものが多い。
曲単位の購入方式は、なにも今に始まったことではない。しかし昔ながらのLP & CD世代からすると、音楽を切り売りしているようで抵抗感を持つ方も多いのではないだろうか?
かくいう僕もそうだった。
しかしアルバムでのダウンロードをそれなりに重ねてきて、当初持っていたダウンロード・アレルギーがなくなってくるにつれて、曲単位での購入も「まてよ、これも楽しめるかな……」と思うようになった。
本来ならアルバムで購入するのが、アーティストの音楽性を尊重することであり、リスナーにとっても未知の曲に出会う機会があるので幸福なことである。
しかしそんなことは、ハイレゾを購入している成熟した音楽ファンには“釈迦に説法”であろう。ここでは各自の音楽ライフをより楽しんでもらえるヒントになればと思い書いてみる。
さて、曲単位で購入するということは、“自分の好みの収録曲のアルバムを作れる”ということでもある。そう、昔作ったマイ選曲のカセットと同じだ。加えて曲単位での購入になるからリーズナブルでもある。
ということで、ここは
フランクのヴァイオリン・ソナタのみを購入する。4つの楽章でしめて1,200円である。おトクだ。
フランクだけだと物足りないとお思いのアナタ。そんなことはない。これだけでも演奏時間が30分近くあるのだ、これくらいの長さのほうが1回のリスニングとして聴きやすい。
しかしこれだけでは面白くない。昔のオーディオ魂を蘇らせよう(笑)。
同じくアラベラ・美歩・シュタインバッハーの
『ブラームス: ヴァイオリン・ソナタ全集』から、ヴァイオリン・ソナタ第2番だけを購入する。3つの楽章で計927円。またまた、おトク。
そしたら先のフランクのヴァイオリン・ソナタとまとめて一つのアルバムにする。それはFLACのタグを編集すればいい。アルバム・タイトルに『自選フランク & ブラームス: ヴァイオリンソナタ集』なんてつけてみる。このアルバムが特別なものになるのは間違いないだろう。ほかのハイレゾより聴く機会は格段に増えるはずだ。
これは一例にすぎない。曲だけの購入に抵抗がある方はアルバムを購入してから選集してもいいだろう。みなさんも自分の好みとセンスで“ハイレゾ選集”を編んでみてはいかがか?
[牧野の考えた“ハイレゾ選集”]
『バッハ:教会カンタータ・いいとこドリ集』 (バッハファンの方、許して)『70年代ポップス・マイベスト』 (王道だ)『クラシック、埋め草曲集』 (定番の埋め草曲に光を)『女性ヴォーカル10番勝負』 (お気に入り10人の美女が共演)『エルガーだぁぁ!』 (エルガーの曲ばかり、ひたすらダウンロード)アラベラ・美歩・シュタインバッハー(vn)
ロベルト・クーレック(p)
『フランク: ヴァイオリン・ソナタ イ長調, R.シュトラウス: ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調』
(2012年録音)
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(vn)
ロベルト・クーレック(p)
『ブラームス: ヴァイオリン・ソナタ全集』
(2010年録音)