これまで曲を作った事がない。そして作ってみたいと考えたことも今までなかった。そもそもどうやって作るのかが分からない。ずいぶん前に祖母から「かえでも自分で曲を作ってみたらいいのに」と言われたことがある。その場にいた祖父がすぐに「歌を歌うことと歌を作ることっていうのは全く別物なんだぞ」と言っていた。私もそう思った。
今年の6月に、架空の映画のサントラというコンセプトのアルバムを佐藤優介さんと共に制作しリリースした。リリース前に名義を連名にするかKaede名義にするかという話になり、私としては全曲作っている優介さん名義がいいのではと思ったけれど、最終的に私名義でのリリースになった。歌ものだけではなくインスト曲もいくつか入っている形態だったので、今回はさすがに申し訳ないなあと思った。
自分で曲を作ることはできるだろうか……。そんなことを考え始めたが、思い立ったからといって急に曲が作れるわけではない。まずは身近な人たちに話を聞いてみることにした。
初めはピアノの先生に話をしてみた。それはピアノの基礎をしっかりやっていくことが大事だと思う、と教えてくれた。ピアノを始める前には分からなかった知識が確実に増えているし、実際に曲を作ろうと思ったときにきっと力になってくれそうだ、と思った。Negiccoのサウンドプロデューサーであるconnieさんに連絡したら、普段どうやって曲を作っているのか教えてくれた。ライブの空き時間に優介さんにも尋ねてみたら「タモリさんの作曲方法知ってる?」という切り口でその方法を教えてくれた。どちらも初心者でも始められそうなやり方だったので、もしかしたらできるかもしれないという気持ちになってきた。
自分で作った曲を自分で歌えたら楽しそうだなと思う。作曲入門の本を買ってみたら、ピアノレッスンで習ったことも書いてあるもののとても難しい内容でやや冷静になった。自信はないけれど、もう少し勉強を続けてみようと決めた。