小さい頃はインドア派だったこともあってか、こんな生活も悪くないと思い始めている。友達と遊べないとか、行く予定だったライブがなくなるとか、仕事がほとんどなくなったりもしているけれど、家で過ごすことに限って言えば、それなりに楽しめている。色々な種類のパンを作ってみたり、SNSで話題になっているお菓子や料理を作ってみたり。そんな中、昔作ったときに、これじゃないんだよなあ…と思っていたぽっぽ焼きの作り方を知ることができた。ぽっぽ焼きは、新潟(下越)でお祭りのときなどに屋台で売られている、モチモチとした蒸しパンのような、黒糖風味で素朴な味の細長いおやつ。小さい頃から馴染み深く、お祭りの度に大量に買ってウキウキで帰るような、特別なおやつなのだ。
今まで作っていたぽっぽ焼きは、黒糖、水、小麦粉、重曹を混ぜた生地を卵焼き器で焼き、後から細長くカットするというものだった。味は確かにぽっぽ焼きだったが、ふくらみがなく、平べったかった。新しい作り方は、アルミホイルで型を作って生地を流し込み、蒸す方法だった。アルミホイルでどうやって型を…?と思いながらも作ってみた。すごい。昔作ったものとはまるで違う、実物に近いふっくらとしたぽっぽ焼きが出来上がった。そうと分かれば、より本物っぽく作りたい。再び作ってみることにした。
型を作る。なんとなくで作る。出来上がったぽっぽ焼きは、初めに作ったものよりも小さめだった。味はぽっぽ焼きだけどなにか違う。また作ることにした。型を作る。なんとなくで作る。出来上がったぽっぽ焼きは、ずいぶん大きいぽっぽ焼きだった。厚みが出なくてやっぱりちょっと違う。また今度作ってみよう…。
ああ屋台のぽっぽ焼きが恋しい。またいつかお祭りを楽しんだり、ぽっぽ焼きを買って食べたりしたい。そんなことを夢に見ながら、私はこれからも家でなんとなくぽっぽ焼きを作っては、その優しい味にちょっぴり救われるだろう。