前回は、
KOKIAさんにフランスでの公演について語っていただきました。フランスの次に彼女たちが訪れた国はアイルランド。ダブリンに着いたらすぐにリハーサルという強行スケジュールをこなしつつ、この地での公演は、いつもより不安の多いものだったようです……。
会場前の大きなポスター。
――2つめの国はアイルランド。
「まず、移動がきつかった(笑)。朝早くフランスを出発して、ダブリンに着いたらそのままリハをやって、次の日は本番でしたから」
――体調的にもしんどいスケジュールですよね。リハーサルというのはアイルランドのバンド、パックフェアとの音合わせですよね?
「そうです。ホテルのバンケット・ルームで彼らとの初めてのリハーサルをやって――ライヴの前日に初めて会うバンドとリハをやること自体、日本ではありえないことですからね(笑)。そういう状況も込みで海外での経験を楽しむというか、すべてが挑戦だったんですよ、ヨーロッパでのツアーは。やるべきことをやっていくしかないですよね」
――リハーサルの手ごたえはどうだったんですか?
「それがじつは、かなり心配の残る状態で本番を迎えました。でも、あまりにも心配しすぎると、さらに悪い方向に転んじゃいますからね。“外国でライヴをやるっていうのは、こういうこともあるんだ”って思うしかなかったですよね」
――うーん、かなりタフな状況ですねえ。会場はライヴ・ハウスですか?
「そうです。テンプルバーっていう、ダブリンでも一番栄えている場所にあるライヴ・ハウス。わりと新しいところで、ホットなスポットだと思いますよ。ロック・バンドもよくライヴをやってるみたいだし」
アイルランドのバンド、バックフェアと。
――お客さんもすごく盛り上がってましたよね。
「うん、私も本番は楽しかったです。内容的にも、他の場所とは大分違ってたんですよね。KOKIAのワンマン・ライヴというよりも、“パックフェアがKOKIAをゲストに迎えた”っていう雰囲気で。彼らのお客さんも来ていたし、“初めまして、KOKIAです”っていう感じでした。トラディショナルやパックフェアの曲も演奏したライヴでしたし」
――アイリッシュ・トラッドを現地で演奏するというのは、どういう感じなんですか?
「楽しいですよ、すごく。アプローチがぜんぜん違うんですよね。和音にしても旋律にしても、“え、そっちに行くんだ?”っていう驚きがたくさんある。ステージの上で意外な方向に変化していく音楽っていうのかな、それがすごく面白いんですよね」
――日本では味わえない経験かもしれないですね。
「日本の場合、だいたい予想がつくんですよ。“え、そっち?!”みたいなことは少なくて、“やっぱりそう来るよね”っていう感じが多いんですよね。それは上手いとか下手っていうことではなくて、想定範囲内のことが多いって感じです」
――でも、アイリッシュ・バンドとセッションして、すぐに馴染める人っていうのも少ないと思いますよ。
「私はどこに行っても大丈夫です(笑)。多分。でも、それが出来なかったらミュージシャンとして辛いですよね」
アイルランドの観客を魅了。
――KOKIAさんって、もともとアイルランドは好きですよね。以前、“いきなり思い立って、アイルランドに行ってきました”って言ってましたし。
「それ、すっごい昔の話ですね(笑)。いろいろなインタビューで“KOKIAさんはアイルランドの音楽が好きなんですか?”って聞かれることがすごく多かったんです。それで、ひとり旅をしてみたいと思ったときに“インドとアイルランド、どっちに行こうかな”って迷って、“みんなによくアイルランドのことを聞かれるから、行ってみよう”って行ったこともありましたね」
――アイリッシュ・トラッドに似た手触りの楽曲がありますからね、KOKIAさんの作品には。
「よくそんな風に言われるんですけど、じつは自分では今でもよくわかっていないんですよ。“アイリッシュのメロディって何?”っていう。感じです。実際にアイルランドに行くようになってわかったんですけど、すごく難しいんですよ。彼らの血に記憶されているものですからね、あのリズムとメロディは。しかも、実際はすごく激しい音楽だし。簡単に真似できるようなものではないですね」
感動の一瞬!
――なるほど。コンサート以外で印象に残っていることはありますか?
「アイルランドはホテルのロケーションが素晴らしかった! 最高のビーチが目の前にあって、あれは束の間のご褒美だったなあ。あと、お風呂にもちゃんと浸かれたし(笑)」
――パリでは風呂に浸かれなかったんですか?
「そうなんですよ。体調管理のことを考えたとき、私にとってかなり大事なのはお風呂なんですよ。これは準備の段階から何度もお願いしたんですけど、ホテルの部屋にバスタブだけは付けてほしいって。ベストなステージにするための外せない条件だったんですけど、実際に行ってみると確かにバスタブはあるけど、“お湯は出ない”“栓がない”っていうことが続いて(笑)海外ではよくあることですけど、かなりへこみました」
――すごいなあ。“バスタブそのものはあるよ“っていうことですね。
「そうかもしれない。結局、パリの3日間はバスタブに浸かれなかったんですよ。ゆっくりお風呂に入ったのは、アイルランドが初めて。まあ、そのあとはまたかなり厳しい旅が続くんですけど……。女性だし、小綺麗にしておくのも仕事のうちじゃないですか? 集合時間にはちゃんと“KOKIA”になって登場するっていうのも、私のなかでは心がけていることなので」
――ステージの上だけじゃなくて?
「そう。たとえば朝7時に集合だったら、5時くらいからKOKIAになる準備をするんです。それは単に“人前ではお化粧をする”っていうことではなくて、お風呂に入って、身なりを綺麗にして、アイロンのかかった服に袖を通し、気持ちの良い状態で集合場所に現れる。そういうことは1日の始まりなわけですから、素敵なステージにするために必ず必要なことだと思うんです。ただ、ヨーロッパのツアーではKOKIAでいなくちゃいけない時間がいつもよりも長くて、そうしたことも今回のツアーがかなり大変だったところの1つですね」
アイルランドの海でたたずむKOKIAさん。
取材・文/森 朋之(2009年9月)
【KOKIAの魅力に迫る3つの質問】
毎回、更新ごとに3つのQ&Aを紹介していきます。今回は……。
★ご自身で分析する長所は?
A. 意外と真面目な部分かしら? 責任感が強いというか、仕事に対してかなりの前向きな向き合い方がいいなと思います。
★ご自身で分析する短所は?
A. 興味のないものに全く興味がわかないこと。例えば、数字。^^; 計算は大の苦手です。
★尊敬している人物は?
A. マザーテレサ。信念をもって何かをやり遂げる、貫き通している人に惹かれます。
【KOKIA LIVE DVD】『WHEREVER I AM ?WORLD TOUR 2009 IN EUROPE?』
(VIBL-481/3 税込8,400円)
[収録内容]
【Disc.1】 START from Paris
【Disc.2】 GO around the countries
【Disc.3】 RETURN to my heart
【Winter Live Tour 2009「12月の贈り物」】今年もクリスマスの近づいた12月にコンサートが決定。
オリジナル曲はもちろん、クリスマス・ナンバーや新曲も聴けてしまうかも!
12/11 (名古屋)名古屋市千種小劇場
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24
お問い合わせ サンデーフォーク 052-320-9100
12/13 (福岡)博多Gate's7
開場17:00開演18:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24
お問い合わせ キョードー西日本 092-714-0159
12/14 (広島)クラブ クアトロ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24
お問い合わせ ユニオン音楽事務所 082-247-6111
12/15 (大阪)サンケイホール ブリーゼ
開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24
お問い合わせ Songs 06-6353-6601
12/21 (仙台)バックページ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/31
お問い合わせ GIP 022-222-9999
12/23.24 (横浜)横浜ランドマークホール
23 開場17:00開演18:00 料金¥6000(全席指定)
24 開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24
問い合わせ KMミュージック 045-201-9999
■オフィシャル・サイト:
https://www.kokia.com/■ビクターエンタテイメント:
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A012051.html