女優・鈴木京香がCDをリリース!プロデューサーの藤井 隆×プロインタビュアー吉田豪のスペシャル対談

鈴木京香   2019/02/26掲載
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 2019年、いきなりのビッグ・ニュース! 女優・鈴木京香が芸能生活30周年を記念して藤井隆主宰のSLENDERIE RECORDからシングル「dress-ing(ドレッシング)」(YRCN-90295 2,500円 + 税)を2月27日(水)にリリース! しかも3月2日(土)にはタワーレコード渋谷店にてお渡し会も実施! お渡し会は即ソールドアウトしましたが、インタビューはリリース情報解禁前に行なわれ、プロインタビュアー吉田豪が、ナーバスになっている藤井の相談に乗る流れに……! 本文でふれているとおり、残念ながら2月20日発売CDジャーナル3月号がお休みのため、鈴木京香表紙のCDジャーナルは実現できませんでしたが、ウェブならではのたっぷり15,000字インタビューをお送りします。
鈴木京香
dress-ing

(SLENDERIE RECORD / YRCN-9029)
――藤井さんがまた想像のつかない行動に出たから本気で驚きました。今回のプロジェクトは予想外すぎましたよ!
 「あはははは。そうですか? 椿(鬼奴)さんの(インタビューの)とき“豪さんに相談したいことがあるんです”って言ってたんですけど、今回のことでした。鈴木京香さんに歌っていただけませんか? ってお話させていただいたとき、企画書を書いたんですけど、最初から絶対、吉田豪さんのインタビューでCDジャーナルの表紙をお願いしますって思ってたんです。自分が裏表紙だったときうれしくて(2015年7月号)。ご本人がCDを出すのは1回だけやと思うから、本当はCDジャーナルの表紙っていうのが夢だったんですけど……」
――タイミング悪くCDジャーナルが出ない月のリリースで(※2月20日発売号は雑誌がお休み)。
 「そうなんです。でも、相談させてください! どうやったら鈴木さんのファンの方に知ってもらえるか……どの媒体さんにいけばいいんでしょう? って、CDジャーナルさんの取材で言うことではないんですけど(笑)。すみません!」
――大丈夫です!
 「もちろんCDジャーナルさんは当たり前ですよ! CDジャーナルさんはわたしにとって大事な媒体ですから。そのうえで、より鈴木さんのファンの方に届けたくて。で、2月は誌面がないけどCDジャーナルはウェブもあるのか、そうか、やろう! と思って今回の記事が実現しました」
――そういうわけで本題に入ります。そもそも、なぜこんなことになったんですか?
 「そもそもは去年の夏に舞台『大人のけんかが終わるまで』でご一緒させていただいたのがきっかけです」
――それまで交流はあったんですか?
 「90年代に自分がまだ全然若手のときに、大阪で鈴木さん主演の単発のドラマがあったんです。それにエキストラみたいな役で出ていて。僕がスクーターでおばあちゃんをひき逃げして商店街を逃げていくんですけど、刑事役の鈴木さんがロングスカートを破ってミニスカートにして走って追いかけてきて、僕が八百屋に突っ込んで、“てめえ、なにしてんだ!”ってやるのがあったんです。それから何年か経ったときに、あるお芝居を見に行ったときに鈴木さんも来られてて。楽屋にご挨拶に行ったときに、鈴木さんもいらっしゃって、“覚えてますか? ドラマでご一緒しましたよね”って言ってもらって。そんなことを覚えてる方なんて絶対いないので、なんてすてきな方なんだろうって。もともと好きですけど、さらに好きになりました。で、舞台の前の年に、大河ドラマ『真田丸』で何シーンかご一緒したのと、そのあと朝ドラ『わろてんか』でヒロインの旦那さんのお母さま役だったのでご一緒してて」
――意外と接点はあったんですね。
 「いちばん長い期間ご一緒したのは舞台なんですけど、そのときにお話する機会があって、“平成元年デビューで、30周年なんです”とおっしゃって。たしかにそうだと思って。でも、その舞台でパンフレットしか売ってなかったんですね。“30周年記念のグッズとかないんですか?”“ないですないです、そんなの”“なんとか作ってもらえませんでしょうか?”“いやいや”ってなって。で、その日、帰ってから企画書をばーっと書いて」
――行動が早すぎますよね(笑)。
 「あははは(笑)。“鼻歌のCD、無理ですかね?”って言って」
――……鼻歌ですか?
 「たとえばご家族とかマネージャーさんが移動の車の中でふふん♪ ぐらい聴いたことあるねんなって思ったら、ヤキモチで、ジェラシーなので、鈴木さんの歌声を聴いてみたいな、と思いました。歌が無理なら鼻歌でもいいので聴いてみたいなと思いました。ご友人とカラオケに行ったりなさるのかな?とか移動車の中でマネージャーさんは鼻歌を聴いた事があるのかな? と想像してたらヤキモチを焼いてしまいまして、私にも鼻歌でいいから歌っていただけませんか? わたしレーベルをやってまして。CD出していただけないでしょうか? 30周年の記念にCDを出すのは無理でしょうか? って企画書を書いて。曲は冨田謙さんとDE DE MOUSEさんとtofubeatsさんの3人に作ってもらいたいって」
――最初からそこは決まってたんですね。
 「はい。次にほしいと思ったのは写真です。ファンの方はもちろん街なかで商品ポスターとか雑誌は見たことあるけど、写真集もやられてない方なので、ボリュームのある写真も見たいので、ブックレット付きでCDだめでしょうか? って企画書を書いたんです。そしたら、“今日の舞台が終わってから読みます”とおっしゃってくださって、あらためて考えてくださいました。これまでお仕事で関わってこられた方々へのお気遣いなどいろいろ慎重にお考えになられたと思うんですが、“チャンレジしてみようと思います”って言ってくださって。そこから、うおー! ってなって。そのあとも舞台の本番は続くんですけど、でも残り回数が少なかったので、お会いできてるうちになんかしなきゃいけないと思って。兵庫で最後だったんですけど、打ち上げの席をぬけて、冨田さんに電話して、“これこれこういうことがあって、やっていただけませんか?”って言ったら、“藤井さんはいつもタイミングがいいです。じつはいま時間あります”っていうので、デモ作ってもらっていいですか? とお願いしました。たしか夕方4時とか5時とかに電話したんですけど、その夜、5時間後ぐらいにデモ作ってくださったんです。次の日がホントの落日だったんですけど、こういうのがあるんですってデモを聴いていただいて。鈴木さんにも、速度が速すぎてちょっとこわがられるんじゃないかなって思いつつ……」
――ダハハハ! スピード感がすごすぎますからね(笑)。
 「僕もバカじゃないので、絶対こわがられちゃいけないと思って。企画は口頭じゃなくて紙にするのと、絶対マネージャーさんを通すのと、マネージャーさんによいタイミングでお渡しくださいってお願いして。すごいセリフ量をしゃべる舞台だったので、あまり本番前にやっちゃいけないなと思って、そういうことを鈴木さんのマネージャーさんに教えていただきながら進めていきました。で,“最初、鼻歌って言ったんですけど、やっぱり随筆を書かれたりする方ですし、本も出版してますし、ファンにとっての記念の品だったら、鈴木さんの言葉がほしいです。鼻歌ももちろんいいと思うんですけど、歌っていただけないでしょうか? そういうチャレンジはどうでしょう?”って言って。鈴木さんが舞台の取材で答えてらっしゃるときに“チャレンジしようと思ってます”とか、“チャレンジ”ってキーワードが多かったので、“チャレンジどうですかね?”って言って(笑)」
藤井隆×吉田豪
――誘い水を出してみて(笑)。
 「そしたら“、わかりました。チャレンジします”って言ってくださって。“歌いませんか?”っていうのももちろん大事だったんですけど、“作詞にチャレンジしてみませんか?”ってのがよかったと思うんです。ホントにありがたかった」
――もともと歌の経験があった人なんですか?
 「ちゃんとはないはずです。30年やってらっしゃるから、厳密にはやってないなんてことないんですけど。映画の中でひとふし歌ってるってみたいなのはおありなんです。レコーディングの経験もおありですし。でも、いわゆるCDを出すってのはないはずですね」
――予想外すぎました。藤井さんとボクは前からお互い“女優の歌フェチ”として、女優さんの歌がどれだけ素晴らしいのか、だからなんとか歌ってもらう方向に持っていきたいっていう話をしてましたけど。
 「だから、豪さんに言いたくてウズウズしてたんです。有言実行です! ……どうでしょう?」
――行動力がすごすぎますよ!
 「あははは(笑)。どう言ったらいいのかな、もちろんCDを出すってことは大事なところなんですけど、プライオリティのいちばん高いところにあるのはお渡し会なんですね。2月27日にリリースしてお渡し会を3月2日にやります。いわゆる舞台をやられているときには劇場に行けば会えますし、ロケ現場に遭遇するっていうのはあるかもしれないですけど、その会場に行ってお芝居じゃない瞬間、鈴木京香さんとして存在してる時間をいただけないでしょうか? とお願いしました。“どうにかファンサービスしてもらえないでしょうか?”ってお願いして、“やりましょう!”ってなったから、楽曲を作ることも大事なんですけど、並行して自分に課したミッションでOKもらうってすごい大きなことだったので、うれしかったですし、洒落にならないことするなって自分でも思いました。ですから、『大人のけんかが終わるまで』を見に来ていただいた方で鈴木京香さんのファンの方には絶対きてもらわないと困るんです! 絶対に! 東京だけじゃなくて、大阪、名古屋でもやりたい気持ちもあるんですよ、“また東京だけですか〜”っていう声があるのはわかるんです。でも、自分のリリースなら“ホントにすみません”って思うんですけど、SKさんに関しては“一回あるからそこはなんとかしてもらえませんかね?”ってちょっと思ってるんです」
――わかります。歴史的な1回ですからね。
 「だからこそ地方からも来ていただけるかもしれない時間設定にしてますし、都内の方で、お子さんがいらっしゃったりする方もお昼ご飯つくってから、じゃあ行ってくるわっていう時間を確保しましたのでなんとか来てほしいんです。でも、CDジャーナルさんも心強いんですけど、いっぽうで吉田豪さんに……私に“また歌ってみたら?”って言ってくださった吉田豪さんだし、CDジャーナルさんのインタビューの時間に甘えるなって話なんですけど……どうやったら鈴木京香さんのファンに伝わりますかね?」
――ボクのファン層ともまた違うはずなので、そこにどうやって届けるかの戦いですよね。
 「平成元年デビューなので、たとえば『君の名は』もやってらっしゃいますし、そのときに京香ちゃん好きってファンになった方、同じように歳を重ねてらっしゃる女性のファンの方、モルツのCMでファンになって年を重ねてる男性のファン、もっというと昨日好きになった方もいるかもしれない。30年の活動をなさって、30年の記念品を作ってくれました。その人がお渡し会をするんだから、絶対に来ていただかないと困るんですよ! 洒落にならないんですね。ほんまにこれ成功しなかったら、僕しばらくお仕事できなくなると思うんです」
――それぐらいのトラウマになる。誘った人間の責任ですからね。
 「去年の夏から家族とか近しい人に、“ねえ、聞いてる?”って言われてハッとなるぐらいずっと本気で考えてて。イベントのことから楽曲のことから。CDの発売とお渡し会の情報解禁の日まであと2、3日なんですけど(※取材時)、どうやったら伝わるんだろうって思うと寝られないんです。この間、膝の手術したんですけど、麻酔してて、麻酔からさめていちばん最初に考えたのが、えーとSKのあれは?……って」
――いきなりそれ(笑)。
 「ホントに! あれどうなってるんだろう、電話しなきゃ〜って。何時間か全身麻酔やったので」
――麻酔の間になにか起きてたらどうしよう、と。
 「そうなんです(笑)。あと、自分がプロデューサーですとか、映像とか写真まわりとかデザインを担当することに対してまだまだ限界も感じてしまったんですね。修行が足りませんし、スタッフのみなさんがわたしにやり取りや確認を遠慮してくれるときもあるので限界も感じてしまいました。でも鈴木さんのおかげで、やっぱり僕は芸人とプロデューサーとデザインということをしていきたいねんな、仕事のひとつにしていきたいんだなってって思わせていただきました。でも追いついてないところとか、自分の人望のなさとか、あ〜だめだっていう思いとか、強めの麻酔とか、膝の痛みとか……いろいろ限界を感じたんですよね(笑)」
――手術をきっかけに(笑)。
藤井隆
 「でも、なんとかしたいんです! もちろん楽曲はベスト・プロデュースだと思います。SLENDERIE RECORDとしてやるべきこと、それは(RHYMESTERの)宇多丸さんに言っていただいた“あなたのレーベルはダンス・ミュージック・レーベルですね”っていうことを守れたし、鈴木さんがチャレンジするっていうことに対してのケアと、チャレンジするのは鈴木さんだけでよくて、それ以外は自分が夜中でも電話できたりとか、スタジオに行けたりとか、事務所に行けたりとか、アートワークを含めてここをこうしてくださいとか、これどう思います? とか相談できたり、決定権は僕ですからこうしてくださいって言える人たちに集まっていただけたから。チャレンジのCDなので、特別版というか、ジャケットを大きくしてもよかったんですけど、やったことないことを急にやるのも違うって思ったし、やりたいことをCDのサイズにとじこめられたと思います。カメラマンの新津保建秀さんがすばらしい写真をいっぱい撮ってくださったんですよ。柔らかくて美しくてポーズとポーズの間のふとした瞬間を写真に収めてくださいました。なんてすてきなんだろうって思えるジャケットになりました」
――デザイン面はなんとかなって。
 「デビュー30周年ということで手にとってくださった方にこの思いは届けたいっていう意味で気に入ったものができましたし、ブックレットはチャーミングでユーモアがあってきれいで、YOUさんにスタイリング的なこともしていただいていいものが撮れたので、写真の数が膨大すぎて、セレクトがたいへんでした(笑)。でも、鈴木京香さんのファンの方が喜んでくださるのはなんだろう? って考えたら、わりと流れは見えたので、決めてからページの構成を考えるのはすごくスムーズにできました。ホントによいものができたと思うんです。で、これ(ブックレット)はできました。音楽もよいものができました。あとは……」
――これをどう届けるか。
 「そう。それが手術のときに薄れゆく意識の中で考えたこと……麻酔ききすぎてて(笑)。いや、でもあと1週間しかないって思うと……うーんうーんって思いながら、スタッフに相談してやってきたたんですけど、抜けてるものがあるなと思うんですよね。助けてください! 満杯にしたいんです!」
(次ページに続く)
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